映画『アバウト・タイム』の感想
タイトル
『ABOUT TIME』は、「時間について」という意味と「そろそろ時間だよ」のふたつの意味が込められている。大ヒット映画『ラブ・アクチュアリー』の監督リチャード・カーティスが監督・脚本。イギリス映画。
ストーリー
イギリス南西部コーンウォールに住む青年ティム(ドーナル・グリーソン)は読書好きな父(ビル・ナイ)、家庭的な母(リンゼイ・ダンカン)、個性的な妹キットカット(リディア・ウィルソン)と仲良く住んでいる。冴えないティムは自分に自信がなく、彼女もいない。ホームステイで来た魅力的な少女シャーロット(マーゴット・ロビー)へのアプローチも上手くいかない。そんなティムの21歳の誕生日に人生最大の転機が訪れる。なんと、父からティムの家系は代々男性だけがタイムトラベルの能力を持つという。その方法はどこか暗いところへ行って目をつむり、戻りたい時点を想像するというごくシンプルなもの。普通ならその能力はお金を稼いだり、出世をしたりすることに使うところ。しかし、見習い弁護士のティムはメアリー(レイチェル・マクアダムス)と付き合うことにその能力を使う。その他にも父の友人ハリー(トム・ホランダー)を助けること、妹キットカットを助けることなど人々の幸せのためにタイムトラベルをする。ところが、タイムトラベルにも制約があり、過去を操作してすべての人々を幸せにすることは難しいとティムは気付く。
印象に残ったシーンと台詞
★個性的な妹キットカット
年中どこでも裸足で過ごすキットカット。名前も珍しいが、その自由奔放な姿は日本人からみる外国人の中でも特異。愛情表現が強く、特にメアリーに初めて会うシーンではメアリーに抱きつき、押し倒してしまう程。彼氏の妹にここまで歓迎されると嬉しいだろう。
★ティムがメアリーにプロポーズ
休日をベッドで過ごすメアリーを起こしてティムはプロポーズをする。高級なレストランで花束と指輪を渡すようないわゆるロマンティックなプロポーズを望んでいなかったメアリーは大げさすぎないティムのプロポーズを喜ぶ。実は、隣の部屋で生演奏をしてもらっていたティムだが、ラジオの音楽とごまかして生演奏者にはこっそり帰ってもらう。メアリーの好みがわかっているとアピールするティムの姿が可愛い。
★メアリーはアメリカ人
イギリスが舞台であるにもかかわらずメアリー役のレイチェル・マクアダムスはアメリカ英語を話す。なぜかな…と思っていたらメアリーはアメリカ人という設定。両親に内緒でティムと同棲するメアリーの元へ両親が突然訪ねてくるシーンのティムの焦りは面白い。監督リチャード・カーティスらしさが出ている。
★メアリー役レイチェル・マクアダムスの魅力
『きみに読む物語』で大ブレイクしたレイチェル・マクアダムス。34歳にもかかわらず相変わらずキュートな魅力でいっぱいのレイチェル。本作ではかなり短めのバングにワンピースでティムと出会う。ティムとティムの家族にも愛されるメアリーのキャラクターもレイチェルが演じると納得。結婚式では白ではなく赤のドレスを選ぶところも個性的。
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★”I am insecure.”
「自信がないところ」。メアリーがティムの母に短所を聞かれたときの答え。メアリーの素直な一面が垣間見える。
シャーロット役で小悪魔的な演技をみせる。テレビシリーズの『PAN AM/パンナム』でもお人形のようなスタイルと顔で大人気。本作ではティムを翻弄する。
★ありふれた一日の2回目
ティムはなんとなく忙しく過ごしてしまったある一日をタイムトラベルによりもう一度体験する。そうすると、ありふれた日常で見落としていた部分に気付く。たとえば、売店で買い物をしたときの店員さんの笑顔。忙しすぎるとその接客サービスに気付いていない人も多いのではないだろうか。本作製作者の伝えたかったことの一部を強く感じるシーン。
★映画にぴったりの音楽と歌詞
ギター・ピアノの音が映画の雰囲気にとても合う。ザ・ラッキエスト(アバウト・タイム・ヴァージョン)/ベン・フォールズ(新録音)はとりとめもない歌詞とも思えるが、おじいさんとおばあさんが出てくるところは時間軸の点で本作とも共通点があるように感じる。また、ハウ・ロング・ウィル・アイ・ラヴ・ユー/ジョン・ボーデン、サム・スウィーニー&ベン・コールマンは予告の60秒バージョンでBGMとなっている。シンプルな歌詞でロマンティックな表現をしている。歌うとなるとはずかしくなってしまうような歌詞だが、人生経験の長そうな男性ヴォーカルの声のせると説得力があるように思う。
How long will I love you (lyrics) - About time ...
まとめ
タイムトラベルというとSF映画なのかと思ってしまうが、タイムトラベルは本作のひとつの要素に過ぎない。時間というものの大切さをタイムトラベルという要素をつかい、映画にして人々に届けている。ティムとメアリーの恋愛だけでなく、ティムの家族、ティムとメアリーが築き上げる新しい家族、大切な人と過ごす時間の重要性を改めて気づかせてくれる本作。監督のリチャード・カーティスらしいイギリス流のジョークが盛りだくさんの映画。