エイガールの映画ブログ

色々な映画の感想をみなさんと共有できたらと思います!

映画『フューリー』の感想

      f:id:cinelog:20141214211930j:plain

タイトル

原題は『FURY』。邦題も同じ。戦車の愛称。意味は「激しい怒り」。ドン・コリア―(ブラッド・ピット)が指揮官を務める戦車。

 

ストーリー

物語の背景は1945年4月、第二次世界大戦・ヨーロッパ戦線の終結4週間前。ろくに訓練も受けていないタイピストのノーマン(ローガン・ラーマン)がフューリーの副操縦士として任務につく。人を殺した経験も戦闘の経験もない。フューリーの乗組員ドン、ボイド・スワン(シャイア・ラブーフ)、トリニ・ガルシア(マイケル・ペーニャ)、グレイディ・トラビス(ジョン・バーンサル)に新人としての洗礼を受けながらノーマンは戦場へ繰り出す。ノーマン達を待ち構えていたのは森の中に隠れていたドイツ軍との野戦、市街地での奇襲への応戦、世界最強戦車と呼ばれるティーガー戦車との対戦、最後は300人ものドイツ武装SS大隊との対戦。これはノーマンが任務についてからたった24時間の出来事である。果たしてフューリーの乗組員達の運命は…。

 

印象に残ったシーンと共にキャラクター紹介

本作では登場人物の紹介がない。戦場における日常生活のフラッシュバックもないため、家族構成や出身地などもわからない。会話や言動からキャラクターのバックグラウンドを推測することになる。

★ドン・コリア―(ブラッド・ピット

f:id:cinelog:20141214211817j:plain

フューリーの車長。チームリーダーで仲間を気遣い、常に強気に振る舞う。顔や背中は傷だらけで戦場を生き抜いてきたことがわかる。責任感が強い。ドイツの武装SS隊に強い敵意を持つ。ノーマンに戦地で生き抜く方法を教え、他の乗組員にはジョークも言う。バイブル(ボイドの通称)との会話では聖書の知識があることもわかる。市街地で会った女性には優しくするジェントルな一面も。ドイツ語が堪能。アフリカから長期に渡り任務についてきたドンの”Ideal is peaceful, history is violent.”(理想は平和だが、歴史は残酷だ)という台詞には重みがある。

ドンを演じるのはブラッド・ピット。本作では製作総指揮も務める。貫禄たっぷりで身体も鍛えあげている。本作に対する熱い想いが伝わる演技は必見。

★ノーマン・エリソン(ローガン・ラーマン

f:id:cinelog:20141214212003j:plain

タイピストにもかかわらずフューリーの副操縦士として任務についてしまったノーマン。戦場の経験もなく18歳と若い。最初に与えられた仕事はフューリーの掃除。ノーマンの前に任務についていた副操縦士は戦死したため、その血を洗い流す。大量の血がある上に顔面の皮まで落ちていた。ノーマンは吐いてしまう。その後も敵味方と関係なく多くの兵士が目の前で死んでいく。それでも戦い続けなければいけない。生まれて初めて銃を撃って人を殺し、倒れている兵士も撃つ。回ってくるまずい酒も飲む。途中から”F★★k Nazi!!!”(ナチめ!)と言って乱射するノーマンは新人兵士と思えないほどの成長をとげる。たったの24時間で人をこんなにも変えてしまう戦争の恐ろしさが伝わってくる。

ノーマンは映画の観客に最も近い存在。観客はノーマンの目線で本作をみることになる。敵を殺すことにも躊躇し、信仰する宗教があり、ピアノも弾ける紳士的なノーマンは育ちが良さそう。

★ボイド・スワン(シャイア・ラブーフ

f:id:cinelog:20141214212057j:plain

フューリーの砲手。聖書の一説を引用することから愛称はバイブル。仲間への愛情が強く冷静沈着。聖書の知識のあるドンとの絆も深い。バイブルを演じるシャイア・ラブーフは本作への気合いがただならぬものであり、傷の特殊メイクに満足できず、実際にナイフで自分の顔に傷をつけたという。兵士の気持ちを味わうために何日もシャワーを浴びなかったこともあるらしい。

★トリニ・ガルシア(マイケル・ペーニャ

f:id:cinelog:20141214212018j:plain

メキシコ系のアメリカ兵士。つい出るスペイン語をドンに注意される。フューリーの操縦主としてティーガー戦車との対戦で大活躍する。通称はゴルド。戦場のつらさを紛らわすために酒浸りであるが、頭がキレて操縦技術も卓越している。

★グレイディ・トラビス(ジョン・バーンサル)

f:id:cinelog:20141214212118j:plain

お調子者で品がない。フューリーの装填手。初めはノーマンにつらくあたるが、クロスロードではノーマンに「お前はいいやつだ。」言う。通称はクーンアス。優れた戦闘能力を持つわけではないが、肝っ玉がすわっている。

 

まとめ

歴史・戦争のことがよくわからなくても映画の世界に入り込める。素人目にはわからないが、兵役の経験があるデイビット・エアーが脚本・制作・監督を務める本作は本物にこだわっており、世界で唯一動くティーガー戦車を使い、フューリーの中の小物も本物だという。戦争映画だからといって悲しいだけでないのはフューリー乗組員のキャラクターにあると思う。俳優陣の演技は秀逸。余韻の残る本作。